キリスト教教育

「神を畏れることは知識のはじめである。」（箴言1章7節）

本学の教育の基本方針を言い表した言葉です。
わたしたち人間は創造主なる神によって命を与えられ、他の命と相互に助け合いながら生きるようにと、この世界に送り出された存在です。
現代の科学技術偏重の教育は、とかくこの重要なことを見失いがちです。
本学におけるすべての教育プログラムは、この土台の上で営まれています。

「わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。

　見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。」

　　　　　　　　　コリントの信徒への手紙Ⅱ４章１８節

宗教や哲学はたくさんあるのに、どうしてキリスト教なのでしょう。
それは伝統の長い世界宗教の中でも、特にキリスト教は人種、民族、国家を超えた<普遍的精神>を強調している、数千年の歴史の試練に耐えてきた宗教だからです。 

建学の精神に基づいて設定されているキリスト教関係科目のような正規の科目のほかに、関キャンパスでは毎週月曜日と木曜日の10:45～11:05にグレースホールにて、各務原キャンパスでは毎週木曜日の10:45～11:05にグローリアホールでチャペル礼拝が守られています。
また特別な年間行事も計画されています。

チャペル礼拝（チャペルアワー）

本学では、関・各務原の両キャンパスにてチャペルアワー（礼拝）を行っています。
賛美歌、聖書の朗読、牧師や教職員のチャペルトーク（スピーチ）などを通して心穏やかなひとときを過ごしてみませんか。
地域の皆さまも自由にご参加いただけます。心よりご参加をお待ちしています。

日時

2024年7月1日(月)　11:10～12:20
（第2時限の講義は行いません）

会場

中部学院大学・中部学院大学短期大学部 関キャンパス　11301講義室

講師

西南学院大学 チャプレン　劉 雯竹 氏

招きの言葉

私たちの時代には、いろいろな流行りものがあります。ファッション、芸術、ことば、音楽など、人はそれらに影響を受けながら、自分なりの世界観を考え表現しています。もちろん、流行りものは時代とともに変化し続けるものです。ある髪型に対し、「昭和スタイルだね」と評価し、ある青年の言動に触れ「今どきの若者らしいね」と思い、職場や社会では今までのやり方・常識が通用しないことを認識しするように、ある程度の影響力を持つ「流行りもの」は、「相対的なもの」であると言えます。

大学生活をスタートした皆さんは、周りからさまざまな影響を受けながら自己を形成していきます。新入生の場合、制服着用義務がなくなり、十人十色の世界がよりリアルに目に映ったことでしょう。学問の世界においても、多様な意見や見解と出会い、客観的かつ多角的な視点で物事をとらえることが求められます。答えは一つではないと気づきモヤモヤしたり、自分はどうあるべきか迷ったりする経験は、大学生活において一度はされることでしょう。

イエスの時代のユダヤ社会では、信仰や宗教の本質や在り方についてさまざまな議論がなされました。ある日イエスは「人々は、私のことを何者だと言っているか」と尋ねたところ、弟子たちは「『洗礼者ヨハネだ』と言う人も、『エリヤだ』と言う人もいます。ほかに、『エレミヤだ』とか、『預言者の一人だ』と言う人もいます」と答えました。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか」と問い続けると、「あなたはメシア、生ける神の子です」と弟子ペトロが即答し、その答えはイエスの本質に一番近いものだったのでしょう、「あなたは幸いだ」とイエスに認められたものの、「あなたにこのことを現したのは、人間ではなく、わたしの天の父なのだ」と知らされたのです。（マタイによる福音書16章13～17節（新共同訳）参照）

「あなたがたはどう思うか」と弟子の主体性を引き出すための問いであったのにも関わらず、なぜ神がその主体性を奪ったかのような、「これを現したのは私の天の父だ」という言い方をされるのか。物語の続きを読めば、ペトロ自身も答えの本質を理解していないことが分かります。この事実を知って物語を読み直す時に、完全に理解していなくても、イエスと本気で向き合ったがゆえに、答えが示され、「あなたは幸いだ」と励まされたのではないかと思います。

最近「自分らしさ」の意味を問い直しています。自分らしさって、個性なのか、こうであるべきという価値観や基準なのか、こうありたいという意欲の問題なのか、あるいは他人と区別するために、相手と違う何かを示すところにあるのか……自分らしさを言語化することは難しいかもしれませんが、人は本気で自分や他者、物事と向き合うところに「自分らしさ」が生まれると思います。

限られた環境や時代、限られた理解力でも、人生と本気で向き合って見出された、自分と他者の「答え」を認めつつ、互いに励まし合い共にこの時代を生きていきましょう。

講師プロフィール

劉 雯竹（りゅう ぶんちく）（LIU WENZHU）
中国大連出身。
幼い頃、クリスチャンとなった祖母と初めて教会に通い始める。
2005年、日系企業に勤め、近くの聖公会教会でバプテスマを受ける。
2006年、日本へ留学。
2008年、西南学院大学国際文化学部入学。
2010年、同大学神学部に編入。
2014年、西南学院大学大学院神学研究科修了。
2016年、シンガポールバプテスト神学校神学修士修了。
同年、日本バプテスト広島キリスト教会の副牧師として赴任。
2018年、西南学院宗教主事に就任、現在に至る。
趣味：読書、カメラ、ギターなど。

中部学院大学・中部学院大学短期大学部 宗教委員会が、年2回発行しています。