「現代マネジメント研究」第8回 若井あつこ氏 講義

2024年度 中部学院大学・シティカレッジ関・各務原 公開講座

第8回『現代社会におけるスポーツの使命とは』

岐阜県議会議員・中部学院大学空手道部監督
若井あつこ氏

「現代マネジメント研究」第8回の公開講座は7月8日、関キャンパスであり、県議会議員で本学の空手道部監督を務める若井あつこ氏が講演した。教育学部、人間福祉学部、短期大学部の学生や一般市民ら約140人が参加し、若井氏は「本当の強さとは挫折から立ち直る力。試練に負けず、夢を持ってこれからの人生を前に進んでほしい」と力強いエールを送った。

学生に「勇気を持って前に進んでほしい」と熱いエールを送る若井氏 学生に「勇気を持って前に進んでほしい」と熱いエールを送る若井氏
世界選手権4連覇を振り返り、「本当の強さとは挫折から立ち直る力」と語る若井あつこ氏 世界選手権4連覇を振り返り、「本当の強さとは挫折から立ち直る力」と語る若井あつこ氏

 若井氏は4歳の時に暴走バイクの事故に遭って大けがをし、リハビリテーションのため、小学1年生から近所の空手道場に通い始めたのが空手との出会いだった。高校、大学と目立った選手ではなかったが、建設会社に就職してからも空手の猛練習に励み、 「いつかナショナルチームの選手になり、胸に日の丸を」という大きな夢を抱き続けた。
 若井氏は「私は二十七歳で初めて世界選手権優勝を果たし、周囲からは遅咲きのチャンピオンと呼ばれた。しかし夢に到達する近道は一つだけではない。むしろ遠回りが目標への近道になることもある。目標に向かって行動に移した時が、その人の適齢期だと思う」と過去の猛練習の日々を振り返った。念願かなってナショナルチームに選ばれ、1998年にブラジルで開かれた世界選手権の初優勝を機に、若井氏の快進撃は続く。国内の全日本選手権で8連覇、国体は5回優勝し、世界選手権はドイツ大会、スペイン大会と3連覇を達成。空手界に若井氏の「不敗神話」が生まれ、破竹の勢いだった。

 しかし、その絶頂期の2003年に若井氏に最大の試練が訪れる。静岡国体の初戦では無名の選手にまさかの敗北を喫した。会場のどよめきとともに若井氏が目にしたのは、信頼する指導者でもあった対戦相手のコーチが歓喜する姿だった。大きなショックを受け「それまで築き上げてきたものが壊れ、何もかも嫌になった」と振り返る。敗北のショックから「引きこもり」状態になり、直近の大会を棄権した若井氏。屈辱の体験の中で別のライバル選手のコーチから「若井、いまやめてはだめだ。苦しいだろうが、頑張りなさい」という励ましの電話があり、号泣した。
「最初から強い人、永遠に勝ち続ける人はいない。本当の強さとは挫折から立ち直る力。ころんでも立ち上がる、負けない心が本当の強さだと気づいた」という。初心に帰って猛特訓を再開した若井氏は2004年の世界選手権メキシコ大会で前人未到の4連覇を達成し、この記録はギネス世界記録に認定されている。さらに若井氏は指導者としても飛躍し、2007年に西濃運輸空手道部監督に就任。一から部員を育て上げ、2012年に岐阜県で開催された国民体育大会の総合優勝に貢献した。

 学生に対して若井氏は「百回やってだめなことが百一回目にできることもある。それは百回負けた経験が生きるから。むしろ負けた後、どうやってそこから立ち上がるかが大切。また自分が痛みを知ることは他の人の痛みを共有し、支える力になる」と強調。「皆さんには素晴らしい輝く未来が待っている。挫折を恐れず、勇気を持って前に進んでほしい」と熱い激励の言葉で締めくくり、会場の学生、市民から大きな共感の拍手がわいていた。

男子学生を相手に空手の組手を披露する若井氏 男子学生を相手に空手の組手を披露する若井氏
若井氏に質問する女子学生 若井氏に質問する女子学生

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