2022.04.18
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「現代マネジメント研究」第1回 宗次德二氏 講義
2022年度 中部学院大学・シティカレッジ関・各務原 公開講座
第1回「苦しみの先に見える虹色の光」
カレーハウスCoCo壱番屋創業者、NPO法人イエロー・エンジェル理事長、中部学院大学・同短期大学部 客員教授
宗次 德二 氏
今年度の「現代マネジメント研究」第1回の公開講座が4月18日、関キャンパスで開講されました。同講座は各界のトップリーダーを講師に招き、グローバルな視点とマネジメント能力を持つ人材の育成を目的に開催され、20年以上の歴史があります。昨年までは各務原キャンパスで開講していましたが、今年度から会場を関キャンパスに移しました。教育学部や人間福祉学部、短期大学部の学生108人と一般市民約30人が受講しました。
公開講座のトップを飾った講師は、カレーハウスCoCo壱番屋創業者で、本学の客員教授でもある宗次德二氏。宗次氏はNPO法人イエロー・エンジェル理事長として広範な社会奉仕活動に取り組まれています。
宗次氏は「苦しみの先に見える虹色の光」と題して講演。「新型コロナ禍が起きてもう2年半になる。留学生はなかなか日本に来られず、大学生の皆さんもつらい日々をすごしておられるかもしれない。しかし現在のつらく、苦しい経験も大部分は時とともに解決します。解決すれば、それが楽しい思い出に代わる将来が必ず来ます」と学生らを励まし、自らの幼少年期の極貧生活に触れた。
同氏は私生児として施設に預けられ、両親を知らずに育った。引き取ってくれた養父は競輪狂いで、子供なのに競輪場に連れていかれ、場内に落ちている当たり車券を探した。養父に吸ってもらうため、パチンコ屋で客のたばこの吸い殻を拾い集めたこともある。電気を止められ、リンゴ箱一つにロウソクを立てて生活していた時期もあった。食べ物も満足になく、空腹に耐えかねて道端に生えていた雑草を食べてしのいだ。御飯がある時には卵一個を義父と分け合った。アジの骨にお湯をかけ、ご飯のおかずにして食べたことも。
「地震や新型コロナなどは自分のせいではなく、納得のいかないこともあるでしょう。つらく苦しい経験は誰にもあり、なぜ自分だけがと思う時もある。しかし、その大部分は時とともに解決する。解決できれば、それは生涯忘れない良い思い出に変わります」と話した。
宗次氏は高校を卒業して就職する18歳の時には自動車学校の教員になりたかった。しかし、不動産仲介業の会社に就職し、生涯の伴侶となる奥様と知り合い、職場結婚。その奥様の理解を得て23歳で不動産仲介業から独立し、喫茶店業へ。「25歳で喫茶店を始めたことが私の人生を変えた。開店初日に接客業の喜びに目覚めた」と振り返る。カレーハウスCoCo壱番屋の誕生であり、サクセス・ストーリーの始まりだった。
53歳の時、世界最大のカレーチェーン店の経営を後継者に託し、自らは引退して株式を公開した。得た財産は「これまでに皆さんから頂いた預かりもの。全部お返ししよう」と思い立ち、NPO法人イエロー・エンジェルを設立。理事長に就任し、街の清掃、花の栽培、クラシック音楽の振興と演奏家への支援など、その後の人生を献身的な社会奉仕活動に捧げてきた。
氏は交友関係にも触れ、「友人には3種類ある。Aランクは優れた人という優人で、お互いに高めあえる。Bランクは普通の友人。そしてCランクは一緒に遊ぶだけの遊人。この遊人は作る必要ありません」と話した。趣味の遊びはせず、「私が趣味と言えるのは早起きと街の掃除、そして花の栽培です」と日ごろの生活ぶりを紹介。「名古屋の広小路通りに花を植え、毎朝午前4時前には起き、毎日3時間から4時間ほど花の手入れしている。街の掃除も欠かしません」と述べた。
氏のクラシック演奏者に対する支援も有名だ。「中学、高校とお米屋さん、お豆腐屋さんでアルバイトをし、学費を稼ぎながら学校に通った。お金を貯めて同級生から中古のカセット・テープレコーダーを分割払いで買ったが、偶然にメンデルスゾーンのバイオリン・コンチェルト(協奏曲)を聴いた。それ以来、クラシックの魅力にはまり、今では音楽が仕事や事業にもなっている」と音楽との運命的な出会いを話した。
学生たちに対して「人生に後悔はあるけれど、少ない後悔でいてほしい。これからますます助け合いが必要な社会になる。見て見ぬふりはせず、助け合うことを心掛けて。学生のうちは先生や友人、家族など周りの人の助けを得ることもできる。自分の目標を見つけて努力し、それを続けてほしい」と温かい励ましのエールを送った。
講演終了後、イエロー・エンジェル奨学金を受けている学生3人が登壇し、感謝のセレモニーが行われた。看護学科の植田百華さん、中国人留学生で人間福祉学科の程芳秀さん、インドネシア人留学生で社会福祉学科のディナ・ホイルリウッマーさんが宗次氏に感謝の言葉を述べ、花束を贈呈した。
(文責:碓井 洋 写真:野口晃一郎・渡邊 数忠)