2024.07.02
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「現代マネジメント研究」第7回 濱島秀行氏 講義
2024年度 中部学院大学・シティカレッジ関・各務原 公開講座
第7回『こころをつなぐ音楽療法』
バイオリニスト、岐阜県音楽療法士
濱島秀行 氏
第7回「現代マネジメント研究」公開講座は6月24日、バイオリニストで県音楽療法士として活躍する濱島秀行氏を招いて開かれた。学生と一般市民ら約130人が参加し、濱島氏の音楽療法への取り組みを豊富な動画で学んだほか、バイオリンの素晴らしい生演奏に耳を傾けた。
第7回「現代マネジメント研究」公開講座は6月24日、バイオリニストで県音楽療法士として活躍する濱島秀行氏を招いて開かれた。学生と一般市民ら約130人が参加し、濱島氏の音楽療法への取り組みを豊富な動画で学んだほか、バイオリンの素晴らしい生演奏に耳を傾けた。
濱島氏は2002年に本学の人間福祉学部人間福祉学科を卒業した。県音楽療法士の資格を取得して総合在宅医療クリニック(羽島郡岐南町)で勤務。末期がん、脳性麻痺、認知症、パーキンソン病などの患者宅を訪問してバイオリンを演奏し、音楽療法による介護ケアや治療のサポートに取り組んでいる。2009年9月からの音楽療法の訪問回数は月間約40回、通算で約3000回に上るという。音楽療法は同クリニックのサービスとして患者、家族は自己負担なしで月2回まで受けられる。
濱島氏は「皆さんもカラオケで熱唱して爽快感を味わったり、ドラマや映画の音楽に心を奪われた経験があるでしょう。それが音楽の生理的、心理的、社会的な効果です。音楽の力をうまく利用して、心身の健康回復や生活の質向上を図ることができます」と指摘。「音楽療法には三つの作用があります。まず生理的には音楽を聴いて体を動かし、歌うことで心肺機能を使い、呼吸や血行にいい影響がある。心理的作用として音楽は心や感情に働きかけ、自分に合った音楽を聴くことで気持ちを落ち着かせることができる。社会的作用では、施設医療で患者同士がグループで演奏したり、一緒に歌うことで達成感や精神的な安定感を得られます」と分かりやすく説明した。
講義の中で濱島氏は患者や介護する家族との交流を撮影した動画を紹介。映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」のファンである脳腫瘍の子どもには海賊に扮してバイオリン演奏したり、ギターを弾いた経験のある認知症の男性患者にはギターを持たせ、バイオリンの伴奏で昔の記憶を思い出してもらった。また、カラオケが趣味の認知症の高齢男性には、リクエストされた「星影のワルツ」「奥飛騨慕情」「知床旅情」などの演歌を次々に演奏。最初は緊張気味で声が出なかった男性患者が最後には大声で歌えるまでになった。
濱島氏は身動きが不自由なパーキンソン病の男性患者がバイオリン演奏に目を開き、口を動かして穏やかな呼吸の状態になる動画を紹介しながら「私にとって音楽療法とは心と心をつなぐコミュニケーションです。寝たきりで言葉の出ない患者さんも笑顔や涙でコミュニケーションを返してくれる。患者さん本人だけではなく、介護で疲れた周りの家族や医療・介護スタッフにも喜んでもらえます」と振り返った。
講義の中で濱島氏は中島みゆきの「糸」、葉加瀬太郎の「情熱大陸」、オリジナル曲「ワタリドリノウタ」などの楽曲も演奏し、音楽家としての成長も披露。素晴らしいバイオリンの音色に学生や市民からは手拍子や大きな拍手が送られていた。
最後に濱島氏はある患者に言われた「音楽療法はおいしいごちそうを食べているようなもの。先生が帰られた後も幸福感が残ります」という言葉を紹介。「患者さんや家族など周りの人が少しでも幸せな時間を過ごしていただけるよう心を込めてバイオリンを演奏していきたい」と結んだ。
(文責 碓井 洋、 写真 野口晃一郎)